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人造昆虫カブトボーグ V×V 第1話

出来る限り、本編を視聴の後でご覧下さい。

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それでは、さくっと行きましょう。
軽快な音楽と限りなく胡散臭い英語の歌詞が生み出すOPが終わり、サブタイトルが映し出されます。

親父超え

どうしようもないネタバレっぷりが清清しいです。

サブタイトルが消え、映し出されたのは超満員のスタジアム。うるさいくらいに歓声が飛び交っています。
その中心には何かのステージのようなものが。

「いっけえ! 俺のトムキャット・レッド・ビートル!」

ステージを激走する赤色の何かよく分からないものを応援するように、一人の少年が叫び声をあげています。
どうやら彼が主人公みたいです。奇抜なファッションと髪型ですが、この手のアニメではさして珍しくもないでしょう。
いきなりバトルを見せるというのも、この手のアニメではよくある手法ですね。

主人公

トムキャット・レッド・ビートル

「ふん!天野河リュウセイ…相変わらずの猪突猛進。
 だが、勢いだけでこのガルフストリーム笹本、そして我が愛機バイリンガル・セクレタリーを倒せると思わないことだ!」


敵っぽい男が口にした台詞で、この状況を表現する為の基本的な情報が得られました。
主人公の名前は天野河リュウセイ、男の名前はガルフストリーム笹本というらしい。
視聴者に優しい台詞運びで大いに助かります。
でも『相変わらず』って言われても、そんなものは知りません。

ガルフストリーム笹本

「行けぇー! バイリンガル・セクレタリー!」

「ボーグバトルギャラクシーカップ準決勝第二試合
 トムキャット・レッド・ビートルVSバイリンガル・セクレタリー! 予想を上回る熱いバトルが繰り広げられています!」

どうやら、この試合はギャラクシーカップという仰々しい大会、しかもいきなり準決勝のようです。
言っておきますが、まだ本編が始まって30秒経っていません。

衝突するトムキャット・レッド・ビートルとバイリンガル・セクレタリー。

「くっ、パワーは互角か!?」

「それはどうかな?」

ガルフストリーム笹本の口元が怪しく歪みます。そして押し始めるバイリンガル・セクレタリー。

「おおっと! トムキャット・レッド・ビートルがじりじりと押されているー!」

「「なに!?」」

「ノゥ! トムキャット・レッド・ビートルガ押サレテイルゥ!?」

いきなり出てきた、リュウセイの友達らしき二人と日本語がつたない外人のような口調の男が驚きます。

誰?

予想外の展開に沸きあがる観衆。騒ぎ過ぎです。

「リュウセイのトムキャット・レッド・ビートルがパワーで押し負けるなんて…」

「ガルフストリーム笹本……流石は謎の組織ビッグバン・オーガニゼーションのナンバーツーだけのことはありますね」

そんな組織、初めて聞きました。謎の組織のわりに情報がオープンなようですね。
VIP席から試合を見つめるガルフストリーム笹本の強化版みたいな男がナンバーワンなのでしょうか。

誰?

「土俵際はもうすぐ! トムキャット・レッド・ビートル、そして天野河リュウセイ! 果たしてここから逆転はなるのか!」

「くうっ!」

「ここまでのようだな、天野河リュウセイ!
 パワー自慢のお前のマシンも、バイリンガル・セクレタリーのチューンナップモーターの前では歯が立たないということだ!」

指差しをして、高らかに勝利宣言するガルフストリーム笹本。
普段の力を知らないので、チューンナップされても何も感じません。

「それはどうかな?」

「なに!?」

先ほどのガルフストリーム笹本の台詞を返すリュウセイ。

「俺は、俺は…こんな所で負ける訳にはいかない。なぜなら…」

「…!?」

「俺には絶対に負けられない理由があるからだ!
 トムキャット・レッド・ビートル! フルパワー!!」


絶対に負けられない理由がそこにはある

でも結局、理由は言いません。何だったんでしょう今のタメ。

リュウセイの言葉に呼応するように、トムキャット・レッド・ビートルが反撃開始。
半分くらいステージから出てるんですが、何故か押し返し始めます。
販促アニメではこれくらい日常茶飯事なのです。

トムキャット・レッド・ビートルの反撃に沸きあがる歓声。

「すごい! これならいける!」

「ナイスデス!リュウセイクン!」

友達らしき人達も喜んでます。

「バカな! まだこんな力を残していただと!?」

「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

どんどん押し返し、そのままバイリンガル・セクレタリーを押し出そうとするトムキャット・レッド・ビートル。

「ぐっ、まずい……このままでは…!」

焦ったガルフストリーム笹本が、VIP席の男へと助けを求めるのような視線を投げかけます。
するとVIP席の男はニヤリと笑って、持ち上げた左手の親指だけを立てて逆さに…。

やっちゃえ

「総帥の許可が出た…」

どうやら、まだ隠している何かがあったようです。
ちゃんと許可が出ないと使わない辺り、ガルフストリーム笹本は中々の忠臣ですね。

「使うぞ! 我が最大奥義! ワンハンドレット・トランスレーション!!」

叫び声と共にバイリンガル・セクレタリーがオーラに包まれ、何の前兆もなくマシンから女の人が現れました。
そう、バイリンガル・セクレタリーとは二ヶ国語が話せる秘書のこと。マシンの名前は適当ではなかったのです。
ああ、適当な方がよかったな…。

バイリンガル秘書

「負けるかぁ! レッドレッド・メテオバーストォ!!」

負けじとトムキャット・レッド・ビートルも隕石を落として炎の中から虎を生み出します。
『何を言ってるんだこいつは』とか思わないで下さい。全てをありのままに言っているんです。

レッドレッド・メテオバースト

秘書の口からほとばしる攻撃と、虎の口から射出された火球がぶつかり、煙が辺りに広がります。
その戦いを知ったことではないと言わんばかりに、普通に衝突する本体のトムキャット・レッド・ビートルとバイリンガル・セクレタリー。
今、我々の見たものは一体なんだったのでしょう。

「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」」

叫ぶ二人。

「いっけええええー!!」

リュウセイの声に反応して、バイリンガル・セクレタリーを投げ飛ばすトムキャット・レッド・ビートル。

「「あっ!?」」

皆が見守る中、宙を舞うバイリンガル・セクレタリーはそのまま弧を描いて場外へ。
地面に激突したバイリンガル・セクレタリーは装甲を砕け散らせ、その動きを止めました。

玩具なので案外脆い

「やりました! トムキャット・レッド・ビートル、天野河リュウセイくん!
 一時は挽回不可能と思われるほどに追い詰められましたが大逆転で決勝進出です!」

激闘の末、リュウセイの勝利。ここまで約3分40秒。

「オゥ! ベリーグッド、リュウセイクーン!」

「やった! とうとうやったんだ!」

「これで決勝進出ですね!」

友達らしき人達も嬉しそう。
でも『とうとう』と言えるほど視聴者は君達と時間を共にしていません。

「ぐうっ…!」

チューンナップモーターを使って奥義まで出した自分の敗北に、膝をつくガルフストリーム笹本。
その様子に自信を持ったのか、リュウセイはVIP席にいた総帥に指を突きつけます。

「ようやくあんたに挑戦できるんだな! ビッグバン!」

どうやら、男の名前はビッグバンというらしい。
だから組織の名称もビッグバンオーガニゼーションなんですね。うーん、分かりやすい。

半裸のビッグバン

「ふっふっふ、よくぞここまで這い上がってきた…それだけは褒めてやろう。だが、それもこれまでだ!」

「なに!?」

「断言しよう。今のお前では決して私には勝てん!!」

「な、なにー!?」

いきなりの勝利宣言に驚愕するリュウセイ。
今度は負けられない理由云々は言いません。

立ちはだかるビッグバン

「天野河リュウセイ…明日の決勝、楽しみにしている!」

そう言ってマントを翻し、戦闘員らしき男たちを引き連れて会場を立ち去るビッグバン。
猫背の戦闘員たちが妙な哀愁を漂わせます。

立ち去るビッグバン

その姿を、どこか落ち着かない様子で見送るリュウセイ。流石に不安なのでしょう。

「リュウセイ!」

「リュウセイくん…」

友達らしき人達も不安を察知したのか駆け寄ります。

「俺が…負ける…?」

「気にすることはないさ! あんなのハッタリだ!」

「そうですよ!リュウセイくんが負ける訳ありません!」

ネガティブになるリュウセイを励ます二人、いい子たちです。

「ソレハドゥーデショウカ?」

「「「えっ?」」」

「マガーリナリニモ彼ハ、謎ノ組織ビッグバンオーガニゼーションノドン、ビッグバンデス」

でも空気を読まないエセ外人口調の男は、いきなり話を始めました。
聞き取りにくい口調も合わさって、正直ちょっとウザいです。

「ストリートファイトヲ含ム500戦ムッハーイ。
 ソノ戦跡モサルコトナガラ、彼ノ厚顔無恥ナ言動ニーハ、確固タル自信ト技術ノ裏ヅケガアルノダト思ワレマッス!
 ソレヨリナニヨリ、マスクノ下カラ覗ク鋭イガンクォーウ!(眼光)
 私ニハトテモジャアリマセンガ、タダノハッタリトハオ思ウェーナイ」


正直かなりウザいです。

「なんだよロイドさん! それじゃリュウセイが負けるっていうのかよ!」

「オウ! ソウハ言ッテマセーン! バットミー…」

どうやら、エセ外人のウザい男の名前はロイドというらしいです。
やっぱり日本人ではないんですね。

ロイドさん

「大丈夫! なんとかなるって! 泣いても笑っても決勝は明日だ! 俺は精一杯戦うだけだ!」

リュウセイの言葉にどこか不安をぬぐえない三人は、その言葉に苦い顔をします。
それにしても自分で落ち込んでおいて、勝手に立ち直って逆に周囲を励ますなんて随分忙しい主人公です。

時間と場所が変わって、今度はリュウセイの自宅(?)のシーン。
自室でトムキャット・レッド・ビートルのメンテナンスをしながら、自分の愛機に話かけます。

「トムキャット・レッド・ビートル……今まで俺たちが積み重ねてきた戦いに、間違いはないよな?」

思い出される、視聴者が見たこともない修行の日々。

「俺たちは様々な努力を惜しまず特訓し、必殺技をモノにしてきた…」

様々な努力

間違いはないよな?

間違いだらけです。

「でも…」

思い出されるビッグバンの意味深な台詞に、リュウセイは深い思考の迷路へと迷い込んでいく…。
それにしても精神的に不安定ですね、この主人公。

やがて夜が明けて、翌日の会場も再び満員の観客で埋め尽くされていました。この人たちは他にすることがないのでしょうか。
観客の中には、あの友達らしき二人の姿も。
元気がなかったリュウセイの心配をする二人。中々いいやつらです。

一方その頃、控え室で出番を待つリュウセイはというと…。

(うぇー……ビッグバンの言葉が気になって、結局一睡もできなかったぜ…)

寝不足

すごくやつれてます。
誰がどう見ても一睡もできなかったとかそういうレベルの問題ではありません。

(リュウセイクン…アキーラカニ調整ミスデス。ソンナ状態デ、マトモニタータカーエルーノデェースカァー?)

何故か当然のように、ロイドと呼ばれていた外人が控え室にいて、リュウセイの体調の心配をしています。
この人は一体、何者なんでしょう。

(くっそー…意識が朦朧としてきた。何だかお腹も緩いような…)

「……! リュウセイクン! ヤハリココハキケーン…」

「そろそろ時間だな!」

ロイドさんの言葉をさえぎるようにして席を立つリュウセイ。

「エ?」

「ありがとう…ロイドさん」

「リュウセイクン…」

ロイドさんからマシンの入ったホルダーらしきものを受け取ります。

「先に行ってるよ、ロイドさん!」

「リュウセイクン…」

そう強がって控え室を出たはいいものの、やはり睡眠不足と腹痛でよろめくリュウセイ。
壁伝いでどうにかステージ入り口に辿り着いたのですが、この時点で既に満身創痍。
こんなことで決勝を戦うことができるのでしょうか。

(ううっ…つらい…俺はここまでよく頑張った…こんなに具合悪いのは久しぶりだ……つらい…かなりつらいぜ…

そんな視聴者の心配をよそに、あろうことか主人公はいきなり言い訳を始めました。
しかも、理由が理由だけに恐ろしいまでに情けないです。

アニメ史上初の寝不足と腹痛で戦いを放棄しようとする主人公

「リュウセイくん!」

そんな情けないリュウセイに向けてかけられた女の子の声。
声に驚いて振り向いたリュウセイの目に映ったのは一人の少女の姿でした。

「君は…クラスのマドンナさやかちゃん!」

本当に視聴者に優しい自然な台詞回しで助かります。
それにしても、なんかさやかちゃんだけ画面処理がおかしいような…。

クラスのマドンナ

「リュウセイくん…わたし……わたし見てられない!」

涙をこぼしながらリュウセイの胸へ飛び込むさやかちゃん。
既にベタ惚れですか。どうやらリュウセイは中々のやり手だったようです。

「もうこれ以上、あなたが傷つくのは見たくない!」

傷つくっていっても睡眠不足と腹痛ですけどね。

「さやかちゃん…」

「もういいのよ、あなたはここまでよく頑張ったわ。誰も文句なんて言わない。だから…もう戦わなくていいのよ…」

さやかちゃんの優しい言葉に目を瞑るリュウセイ。
しかし、すぐに拳を強く握り締めて目を見開きます。

「リュウセイくん…私、あなたのことが……あっ!」

リュウセイの目を見たさやかちゃんは何かに気づき、言葉を止めます。
彼の目には精気が宿り、頬のコケもなくなっていました。

眠気スッキリ

「さやかちゃん、ありがとう! おかげで目が覚めたよ!
 ……ビッグバンが待ってる、行かないと」


さやかちゃんを振り切ってステージに乗り込むリュウセイ。

「リュウセイくん!」

「俺は戦わなきゃいけないんだ!」

決戦の場に向けて上昇をはじめるステージ。

「リュウセイくん……リュウセイく――――ん!!」

暗闇にさやかちゃんの声が悲しく響く…。

ふられた女

うーむ…中々に重い展開です。
そんなさやかちゃんを余所に、上昇したステージはビッグバンの待つ決勝の場へと到着します。

「お聞き下さい、この歓声! ギャラクシーカップ決勝を控え、観衆のボルテージは既にマックスを超えています!」

(湧き上がるような歓声、痺れるように緊張した空気。長かった…これで全ての決着がつく……あいつとの決着がな!)

本当に長かった。まだ本編が始まって11分くらいしか経っていませんけどね。

「さあ! 赤コーナーにディフェンディングチャンピオン、ビッグバン!」

戦闘員を引き連れて登場したビッグバンと睨み合うリュウセイ。
激戦の予感です。

「いよいよだな、天野河リュウセイ…」

「この時をずっと待っていたぜ!」

「567体目」

「…なに?」

「お前のトムキャット・レッド・ビートルが
 この私の完成されたカブトボーグ、ダークサイド・プレジデントの記念すべき567体目の…獲物だ!」


「なにをー!」

記念すべき567体目だ!

恐ろしくキリの悪い数字です。
それに悪の組織の総帥にしては、567体というのも微妙に少ないような。
あとロイドさんの話では500戦無敗だったのでは…? あのエセ外人はあまり信用できないようですね。

「さあ! この歴史的瞬間を見逃すなー! ギャラクシーカップ決勝、まもなくチャージインです!」

観客と仲間が見守る中、ついに戦いが始まる!

「チャージ3回! フリーエントリー! ノーオプションバトル!」

「チャージ3回! フリーエントリー! ノーオプションバトル!」

「いくぞ! 天野河リュウセイ!」

「望む所だ! ビッグバン!」

一体、その宣言は何なのか? そんな視聴者の疑問を華麗にスルーして話は進みます。

「うおおおおおお!!」

「うおおおおおお!!」

凄まじい気迫のまま、ステージに備え付けられた台でマシンのタイヤを擦る二人。
そう、カブトボーグは玩具だからゼンマイを巻かなければ動かない。決して電池で動いたりはしないのです。
どう考えても自動可動していましたが、良識ある大人ならそんなことを気にしてはいけません。

擦る、擦る、擦る

「チャージ、イン!!」

「チャージ、イーン!!」

二人の手からマシンが離れ、中央のステージへと放たれました。
どうやら『チャージ3回』というのは、台で擦る回数が3回であることのようです。

開始早々に攻撃を仕掛けるリュウセイですが、ビッグバンのマシンはその力を利用して華麗に攻撃を回避。
流石はチャンピオンといった所でしょうか。ただの半裸の変態ではありません。

「だったらこれでどうだ! テイル・スピン・ドリフトォー!」

何やら技っぽいものを放つリュウセイ。
しかし、それさえもダークサイド・プレジデントに軽く避けられてしまいます。

「駄目だ! リュウセイの技が通用しない!」

「くそぉっ!」

「ケイケン、チシキ、ギリョウ、全テビッグバンガ上ヲイッテマース。コノママデーハ…」

「くそぉっ! だったら!」

「しゃらくさいわあーッ!」

反撃を試みようとするリュウセイの隙を突き、トムキャット・レッド・ビートルを投げ飛ばすダークサイド・プレジデント。
宙を舞うマシンに歓声が沸きます。

「!?」

「ふふっ」

「ダークサイド・プレジデント反撃! なんと一撃の下にトムキャット・レッド・ビートルを空高く吹っ飛ばした!」

「ノォー! マッズーイデェース!」

「いや、まだだ!」

「そうです! リュウセイくんはここからが強いんです!」

そうだったのか…。そういえば、ガルフストリーム笹本もピンチから逆転しましたしね。
確かに、逆境に強いのは主人公に必要な重要要素でもあります。

その声援に応えるかのように
宙を舞い、地面に激突するかと思われたトムキャット・レッド・ビートルが綺麗に着地して再び走り始めました。
どう考えてもラッキーですが、販促アニメにおいてはこれは主人公の力ということになります。

「いっけー!!」

そのまま加速するトムキャット・レッド・ビートル。
勢いをつけたまま体当たりをして、ダークサイド・プレジデントを角で挟み込みます。

「!?」

皆が息を呑んだ次の瞬間、ダークサイド・プレジデントの装甲が弾け飛んでビッグバンの仮面を直撃
その仮面が割れ落ちて、ビッグバンの素顔が白日の下に晒されます。

素顔のビッグバン

その顔を見たリュウセイは驚きながら口を開く――

「お…親父ッ…!!」


衝撃の事実が判明して、Aパート終了。

まあ、サブタイでネタバレされてるから驚きもクソもないのですけどね。
どっちかというと、正体が発覚するプロセスの方が驚きました。

衝撃冷めやらぬままにBパート開始。

「お…親父ッ…!」

ビッグバンの正体に狼狽するリュウセイ。
そして何故か落ちる照明。照らすスポットライト。

照明さん空気読みすぎ

「何故、親父がここに!? いや、その前に何故、親父がビッグバンなんだ!」

本当にその通りです。

「どうして…あの優しくも厳しい親父が……」

父との思い出をひとつひとつ思い出すリュウセイ。でも視聴者は初見。
さり気ないですが、厳しくも優しいではなく優しくも厳しいである所に父としての厳しさを感じます。

「どうして……」

一転して今度はビッグバンが今までやってきたことを思い出すリュウセイ。

「親父が、俺やみんなに様々な嫌がらせをしてきたビッグバンだったなんて…」

様々な嫌がらせ

様々な嫌がらせ

とてもいい笑顔

どう見ても、いい歳こいた大人がすることではありません。
なんて大人気ない…これが父親だと分かった日には確かにヘコみます。

「親父……何故なんだーっ!!」

「全ては最強の為…」

「え…!?」

「最強の称号を手に入れる為、私は過去を捨てた。下らぬしがらみに縛られぬよう過去を捨てたのだ!

カッコイイ台詞を言っていますが、実際にやっていたことは子供への嫌がらせです。

「だからこそ言おう、息子よ。私は全力を尽くし、お前を倒す!!」

「くっ…!」

父の言葉にうろたえるリュウセイ。
動揺がマシンにも伝わったのかトムキャット・レッド・ビートルが押され始めます。
どうでもいいけど、照明が消える前と体勢が変わってます。

「マッズーイデス! 今ノリュウセイクンハ動揺シテイマッス!
 タダデサエ最強ノ名ヲ欲シイママニシテイルビッグバン、ソノビッグバンガリュウセイクンノダディダッタナンテェェー…」


「リュウセイ…」

「リュウセイくん…」

友達のような人達も心配そうに見守る中、トムキャット・レッド・ビートルはどんどん押されて行きます。

「おおーっと! トムキャット・レッド・ビートル成す術もなく追い詰められる! 流石にここまでかー!?」

「くっ…!」

「これで終わりか。こんなことで諦めるとは、やはりまだまだのようだ…」

自分の言葉が正しかったと笑みを浮かべるビッグバン。
しかし、どこかリュウセイの力不足を嘆いてるような、そんな父の気持ちが垣間見えるような気もします。
息子には負けられない、しかし強くなって欲しい。複雑な親心というやつでしょうか。

「私は昨日お前に言った! 今のお前では私に勝てないと! やはりお前は…」

「そうだな、その時の俺だったら、俺はあんたに勝てなかっただろう」

「…何?」

「だが、それは昨日までの話だ!」

「どういうことだ!」

「知りたいか? だったら教えてやるよ!」

余裕たっぷりの言葉に驚きを隠せないビッグバン。
それにしてもリュウセイ、非常に偉そうです。仮にも親父なのに。

「俺は一分一秒、そしてこの瞬間にも成長している!
 だからこそ言える! 昨日の俺より、今の俺はもっともっともっと、
強い!!!

成長期

よく分からんが、すごい自信だ!
というか主人公が自分でそういうこと言うな。

「いけー! トムキャット・レッド・ビートル! うおおおおおおおおお!!」

「…!!」

リュウセイの超理論に反応するかのように
力を取り戻したトムキャット・レッド・ビートルは、ダークサイド・プレジデントを再び押し始めます。

「おーっと! ギリギリの土俵際! トムキャット・レッド・ビートルが反撃を開始!」

「よぉーし! いけーっ!」

「デール……」

「えっ?」

「次ノ一撃デ勝負キマール…!!」

キマールそうです。

「流石だな…だが私の勝利は揺るがない!」

「負ける訳にはいかない! 必ず、俺は勝つんだ!」

リュウセイの背後に、仲間と共に過ごしてきた日々が流れます。

思い出

知らない。そんな思い出は知らない。

「これで決める! いくぞ、ダークサイド・プレジデント!
 ビッグ・ファイナル・エクスプロージョン!!」


さながらビッグバンのような衝撃を作り出すダークサイド・プレジデント。
そのビッグバンの放つ大技に圧倒されながらも、リュウセイも渾身の必殺技を放ちます。

「いくぞ! 俺のトムキャット・レッド・ビートル!
 レッドアウト・ゴールデン・マキシマムバーニング!!」


メーターが振り切れて、オーラに包まれるトムキャット・レッド・ビートル。

謎のメーター

「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」

衝突する二体のマシン。
しかし、リュウセイのトムキャット・レッド・ビートルのパワーが僅かに上回り、ダークサイド・プレジデントを投げ飛ばします。
ステージの枠にかろうじて着地したダークサイド・プレジデントだったが、ついにはステージから落ちてしまう。
そう、ついに激闘に決着がついたのです。

「決まったー! 新チャンピオン誕生! トムキャット・レッド・ビートルと天野河リュウセイ! ギャラクシーカップを制しました!」

新たな王者の誕生に沸きあ上がる客席。
しばらく真剣な顔を崩すことのなかったリュウセイですが、歓声に感化されたのが笑顔が点ります。

「勝ったぞーっ!!」

手を上げて雄叫びをあげるリュウセイ。
そのリュウセイに、友達二人が飛びついて喜びを分かち合います。いい友達ですね。

「おめでとうリュウセイくん!」

「やったな、リュウセイ!」

「Youハ、ナンバーワン!」

遅まきながら駆けつけたロイドさんも賞賛を送ります。

「よくやったな、俺のトムキャット・レッド・ビートル、感謝するぜ!」

「天野河リュウセイ!」

「…?」

「強くなったな…我が息子よ」

「ああ…!」

負けたというのに、どこか晴れ晴れとして顔をしているビッグバン。
やはり自分が負けたことよりも、息子が自分を超えたことが嬉しいのでしょう。

「何度転んでも立ち上がるその勇気、人はそれを『七転び八起き』という! その心、いつまでも忘れるなよ…」

今回の格言『七転び八起き』

…なんで、この場面で七転び八起き……いや、まあいいですけどね。言いたいことは分かるから…。

リュウセイに背を向けて退場口へと向かうビッグバン。
その背中を見ながらリュウセイは言います。

「親父は、俺を強くする為にビッグバンになったんだ…俺の為に、あえて悪に染まったかのように…」

そうなんでしょうけど、こうして言われると何か違うんじゃないかなと思えてきます。
うーん、不思議。

「あ、そうそう!」

退場口に入ろうとしたビッグバンが振り返ります。

「お母さんには内緒だぞ!」

内緒だぞ!

そりゃバレたら離婚ですわな。
こんな変態みたいな格好して子供に嫌がらせをしてる夫なんて…。

その言葉を残して、ビッグバンは去って行きました。猫背の戦闘員を引きつれて。

「おい、リュウセイ!」

「みんなの声援に応えてよ! リュウセイくん!」

「Youハ、ナンバーワン!」(二回目)

「ああ!」

観客に向かって大きく両手を振って応えるリュウセイ。
沸き止まぬ歓声は、いつまでも止まらないのでした。



カブトボーグ第一話、完。

 

そしてOPと同じように胡散臭い英語の歌詞のエンディングが流れて、次回予告。

いつもは物静かな勝治が執拗にリュウセイにせまる。
鬼気迫る勝治にたじたじのリュウセイ。
勝治を突き動かすものは…一体。
かくして、切なくも熱き友情の戦いが始まる。
次回、カブトボーグ
『さらば友よ! 涙のメタリック・ギガトン・クラッシュ』

さらば友よ!

……死ぬの?

 

□総合的な感想とか解説とか
カブトボーグ伝説はここから始まった。
第一話でありながら、まるで『過去に何十話か放送していたかのように振舞う』登場人物達。
一切の説明をすることなく、理解を視聴者に丸投げしたバトル。
何の伏線もなく唐突に明らかになる衝撃の事実。
そしてフォローのないままに話が終わってしまったヒロイン。
全てがあまりにも唐突で、これがカブトボーグだ!と見せつけるかのような第一話でした。

正直、真面目な販促アニメとして捉えると何も面白い所はありません。
何故なら、この話は『アニメのお約束』を利用した、一話を全て使った壮大なギャグだからです。
なにひとつ説明されることのない用語とキャラなのに、視聴者は経験から何となく『こうなんだろうな』と想像し、理解できてしまう。
一見すると小学生でも書かないようなデタラメで稚拙な脚本に見えてしまうのですが
この話は、本当はそんな視聴者の心理を巧みに利用した非常に高等かつ大胆な脚本です。

その顕著な例が『敵の正体が主人公の父親』という展開でしょう。
これは少年漫画でも多く使われていた――あるいは使われている――いわゆる『ベタな展開』と呼ばれるものです。
ベタであるということは、その時点で視聴者が大まかなイメージを抱いているということでもあります。
そこには説明という名の段階が必要なく、ただ『お約束』があるだけ。
主人公の父親が主人公を高みへと導くように振る舞い、超えるべき壁として立ちはだかる。
それが『親父超え』という名の『お約束』だからです。

しかし、カブトボーグは単にお約束をなぞるだけではありません。
お約束同士をリンクさせる時、意図的にデタラメな展開を挟み、それぞれがちぐはぐに噛み合うようにしています。
例えば、主人公がヒロインの優しい言葉を振り払って決戦の場に行くというシチュエーションの直前。
寝不足と腹痛で弱った主人公が言い訳を始めるという、お約束どころか他のアニメでは見られないようなシチュエーションを挟んだり。
例えば、敵の正体が主人公の父親であると発覚するという展開の直前。
戦っているカブトボーグの装甲が弾け飛んで仮面を直撃、仮面がひび割れて敵の素顔があらわになるという脈絡のない展開をしたり。

その意図は登場するキャラクター達の配置にも現れています。
主人公がボーグバトルの才能を持った熱血系の少年だということ。
唐突に現れ主人公を応援をしていた子供達が、リュウセイの親友であるということ。
その親友の一人は主人公と良きライバル関係にあるクールな少年で、もう一人はのん気で食いしん坊な三枚目役の少年だということ。
これが『お約束』であり、視聴者が唐突な展開の中でありながら想像で補ってしまえる設定です。
そして、そんなキャラクターの中にさも当然のように混じっている異質な存在が、エセ外人口調で喋る『ロイド』という男。
こんな男は明らかに『お約束』の中には存在しません。
本来なら、彼のポジションには紅一点である気の強い幼馴染のヒロインがいるべきだからです。
しかもロイドは他のキャラクターに比べ、喋り方という点でしつこいくらいに強くその印象を与えてきます。
彼は、視聴者が思い描く『お約束』を打ち崩してくれる重要なキャラクターとして配置されているのです。
さらに言えば、それは第一話からクライマックスのような熱い(ように見える)展開をして
それをなにひとつ感情移入させることなく繰り広げるという、今回の話のテーマそのものにも繋がっているのです。

お約束を再現した上で、そのお約束をデタラメな方法で破壊する。
『お約束』とありえない展開を繋ぎ合わせ、大真面目に第一話でありながら最終話のような話をする。
そういった、視聴者のイメージと実際の内容の理不尽な噛み合わなさ。
それこそが今回の『親父超え! 勇気のライジング・プロミネンス』に込められている意図であり
このカブトボーグというアニメを語る上で欠かすことのできない大切な要素でもあるのです。

かなり長くなってしまいました。
何が言いたいのかというと、こんな狂ったような第一話も、実は精密に計算されているということですね。
まあ、ほとんど妄想なんですが。

今回の使い捨てヒロイン
さやかちゃん

□スタッフ
脚本:大和屋暁
絵コンテ:石踊宏、Han Young Hoon
演出:石踊宏
作画監督:田中正之

天野河リュウセイ:知桐京子
松岡勝治:三橋加奈子
龍昇ケン:渡辺慶
ロイド安藤:前田剛
天野河大輝、ビッグバン:松山鷹志
さやか:山本ひかる
実況:岩崎征実
観客:大川朝美



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